ヨセフの再会
The reunion of Joseph
 

ホン・ソンピル (洪 性弼)
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「ヨセフの再会」
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第一章 決断 第18話

 「この夢は七年の豊作と七年の凶作です。先に現れた肥えた七頭の雌牛と太い茎に実った七つの穂は七年間の豊作を、次いで現れた醜いやせ細った七頭の雌牛や弱った茎から出た七つの穂は七年間の凶作を示していますが、後の醜いやせ細った雌牛が肥えた雌牛を飲み込み、弱った茎の穂が太い茎の穂を飲み込んだというのは、後に起こるであろう凶作が前の豊作の勢いを上回るということです。よって、陛下は知恵あるものを選んで国を治めさせ、七年間の豊作の間に刈り入れる穀物の五分の一を蓄えさせ七年間の凶作に備えられればエジプトは滅びずに済むでしょう。」
 一度に言葉を発したためか、背筋には冷や汗が流れ、呼吸は荒かったが、私を助ける神がおられるということをはっきり知ることができたよ。このようなことを申し上げると信じられないことが起こったのだ。畏れ多くも陛下は私をエジプトの宰相に任命されると仰せられたのだ。どうしてこのようなことが起こり得ようか。それだけではない。陛下は自ら皇帝の印章が彫られた指輪を私にはめて下さるではないか。
 私は何者であろうか。カナンのはずれで生まれた羊飼いの息子ではないか。
 私は何者であろうか。兄たちに憎まれた哀れな弟ではないか。
 私は何者であろうか。遠くエジプトに売られた奴隷ではないか。
 私は何者であろうか。ポティファル将軍に仕えていたしもべではないか。
 私は何者であろうか。濡れ衣とはいえ、何年もの間、獄中に繋がれていた罪人ではないか。
 そのような私を神は一度に高められたのだ。どれほど高められたのか。そう、天より高く持ち上げて下さったのだ。
 おお、神よ、このちり芥のような私が宰相になったとは。兄たちから嫌われ、十七の歳で父がつけてくれた、あや織りの長服さえも引き裂かれて売られてきたこのヨセフが、残りの十三年間を奴隷と監獄生活しかしたことのないこのヨセフが、名もなく生きて名もなく去っていくだけの命だと思っていたこのヨセフが、生まれ故郷のヘブライの地でもない、エジプトで宰相になるとは。
 私は陛下から名誉も名前も、そして美しいアセナテも授かることができた。奴隷であり罪人であったヨセフが、エジプトの支配者であり祭司の婿でありそなたの夫であるツァフェナテ・パネアハとなったのだ。これこそがまさしく、全てを創造された神、全てを成し遂げられる神、全てを回復される神の驚くべき御業でなくてなんであろうか。
 そなたも知っての通り、私は七年の間、あらゆる穀物を蓄えることができた。あの豊作は実に素晴らしかったではないか。重さや数を記録しようとも追いつかないほどの驚異的な収穫量だった。だが、七年が過ぎると神が下さった解き明かしのとおり、肥えた土地は荒野に変わり、大きい実を植えようと小さい実を植えようと、土地はすべての穀物を呑み込んでしまった。もう周辺にはエジプトと競り合えるような国はなくなってしまったではないか。国中のすべての民の財産は陛下のものとなり、その代償として民たちは腹いっぱい食べることができる。そなたも周辺国から入ってくる金銀財宝を見たことがあろう。エジプトはこれからもどんどん大きくなるはずだ。大帝国となり世界を支配するようになるだろう。

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