第二章 葛藤 第17話
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ユダの話の途中から徐々に幕が上がる。舞台の上には、先ほどのようにヨセフと通訳、そして警備兵が立っている。
レビ :ユダ、じゃあ、どうしろっていうんだ。ここで死のうってのか?
ユダ
:(レビを見て)彼らがもし初めから私たちを殺そうとしたとしたら、わざわざここまで引っ張ってきたりはしなかったでしょう。宰相の言葉が本当なら、末を連れて来させるはずです。理由は分かりませんがとにかく末を連れて来る方法を探さなければなりません。
ルベン
:(むせび泣きながら)だめだよ。お父さんは、お父さんは絶対末を手放さないよ。無理だよ。ボクが言ったじゃないか。お父さんを知らないのか?あの子が死んじゃった時、お父さんがどうなったのか知らないのか?これはラケルの呪いなんだよ。あの子を殺しちゃったボクたちが天罰を受けるんだよ。ボクたちだけがここで死んで行くんだ。ボクたちだけが…。(むせび泣く)
ダン :(立ち上がってルベンに殴りかかる)おい、この野郎!黙れってんだよ!
ナフタリ :(急いでダンをつかむ)もう、兄さん、やめときなってば。
ダン :あいつがしょうもないことばっかりしゃべってるからだろう!
ユダ :(ダンを見て)静かにしろ!私の言うことが聞けないのか!(ルベンを見て)兄さん、何か方法があるはずです。そんなに心配しなくても大丈夫ですよ。
ルベン :そ、そう?そうか…。ああ…。ユダ…。ボクたち、生きて帰れるかな?
ヨセフ :(立ち上がって警備兵に向かって)何をしておる!あの者(ルベンを指す)、いや、あの者(シメオンを指す)、あの者を、あの者を直ちに牢に入れよ!
シメオン:お、おい、何するんだよ。放せ!放せってんだよ!
- シメオン、抵抗するが、連行される
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兄弟たち、何かをしようとする者、追いかけようとする者、「兄さん!」「兄貴!」と叫ぶ者もいるが、結局何もできず、連れて行かれるシメオンを目で追っている
(前に立っていた警備兵1・2・3が、シメオンを連行して右側に退場しながら照明が暗くなる)
第二章幕。
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