ヨセフの再会
The reunion of Joseph
 

ホン・ソンピル (洪 性弼)
http://japan.ikahochurch.com
kirinmission@gmail.com

 
「ヨセフの再会」
完全版PDFダウンロード

第三章 苦悩 第4

とうとうリベカは最後までやり遂げました。しもべが彼女にどこのだれかと尋ねると、その答えを聞いて驚きました。祖父アブラハムの弟ナホルの息子ベトエルの娘だというじゃありませんか。簡単に言うとイサクのお父さんの弟の息子の娘というわけです。等親で言うと五等親。もっと簡単に言うと、まあ、結構近い親戚ということですわ。皆さんには分かりにくいかも知れんが、これは奇跡のようなことなんですよ。アブラハムが息子の嫁さんを探すためにはるばる自分の故郷までしもべを送ったのは、異邦人ではなく、なるべく自分と近しい人物を探すためでしたのに、近いどころか親戚を探し当てたのだから、こんなうれしいことはない。

祖父アブラハムのしもべは自分がそこまで来ることになった経緯を詳細に述べました。これを聞いた彼女の父ベトエルと、憎き…、いや、この時は私は生まれてもいませんでしたから、まだ憎いも何もないのですが、ま、とにかく彼女の兄ラバンがその場で結婚の承諾をしました。それこそとんとん拍子です。しかし、だからと言って、あ、そうですかとついていく女性がどれほどいるでしょうか。彼女は結婚する相手はもとより、その両親にすら会ったことがないんです。にもかかわらず、さすがはリベカ、あっぱれです。すぐ、次の日には、アブラハムのしもべと一緒に旅立つと言い放ったんです。このように我が母リベカは、何においても積極的でした。まあ、変わった女性だったとも言えるでしょうがね。

そんな母がイサクを快く思うはずがありませんでしょう。イサクは争いを知らない人でした。抵抗というもの、欲というものを知らない人でした。よく言えば、おとなしい羊のような人柄とでも言いましょうか。

それもそのはずです。父は生まれてからというもの、苦労を知りませんでした。祖父アブラハムはカナンの地に留まる間、日々豊かになっていったのです。祖父が百歳の時に得た独り息子イサクには競争相手がいなかったので、何の欲もなく、ただ与えられたものに満足し、豊かさを享受しながら生きていくことができました。

しかしねえ、みなさん。人生、そんな甘いもんでしょうか。そんなことで、どうやってたくさんのものを得ることができるでしょうか。もう少し努力すれば、もう少し頭を使えば、父はもっと豊かになることができたんです。ところが、父はただじっとしているだけです。まったく努力をしない。

第三章 苦悩 第5話 →

← 第三章 苦悩 第3話

ヨセフの再会トップ

JesusChrist.jp