ヨセフの再会
The reunion of Joseph
 

ホン・ソンピル (洪 性弼)
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「ヨセフの再会」
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第三章 苦悩 第8

彼は父の願いを無視したまま、アブラハムの故郷であるアラム・ナハライムではなく、ヒッタイト人の女を愛し、結婚までしてしまったのです。それも、二人の妻を一度に迎えたのです。何と無知な行為なのでしょう。神がアブラハムを選び出し、成し遂げようとされるご計画を知りもしないで、ただ目先のことだけしか考えない人間です。その名もエサウ!これによって父と母はどれほど失望したことか。けれど彼はそんなこと、お構いなしです。彼が親思いだというのも嘘で、長子としての資格があるというのも嘘、ましてやアブラハムの祝福を継いでいく力があるというのも嘘です。彼は所詮、世俗的で愚かな人間でした。彼が愛したもの、狩り、自分自身、そして異邦人の女たち。一方で、彼がないがしろにしたものは「神」でした。神がアブラハムと交わされた祝福の約束はこのヤコブを通して成し遂げられるべきなのです!

父の体は少しずつ衰弱してゆきました。年々歳をとるから当然と言えば当然でしょうが、目がよく見えなくなったときにはご自身も驚いたようです。遠いところはもちろんのこと、最近は近いところも見えづらくなったと言っていました。丁度その頃、母から衝撃的なことを聞かされました。目の力が衰えて本人も先のことが心配になったのでしょうか。その日の朝、父がエサウにこんなことを話したそうです。

今日は狩りをしてから、私の好物である料理を作ってくるように。私はこれからどれくらい生きられるかわからないので、それを食べてからお前に最後の祝福をしてあげよう。

これには驚きました。「その手があったか」という思いです。最後の祝福。皆さん、最後の祝福とは何だと思われますか。そうです。これはまさしく遺言です。間違いなくエサウに長子としての祝福、長男としての祝福、つまり相続人としての祝福をしてやろうと言っているようなものなのです。

お父さん、今、何をおっしゃっているんですか。エサウはすでに長子の権利をこのヤコブに売ったんです。彼にはもう何の権利も能力も資格もありません。お父さん、お忘れですか。お母さんが我々兄弟を身ごもった時、神様が何とおっしゃったのか。

「一つの国民は、もう一つの国民より強く、兄が弟に仕える。」

このような神のメッセージをお聞きになったと、お母さんに話されたそうじゃありませんか。しかし、あなたは最後までこのことを我々兄弟には隠していました。その理由は何でしょうか。神の御心に抗い、ご自分の考えを優先させ、無理やりエサウを長子として立てようとしているからではありませんか。

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