ヨセフの再会
The reunion of Joseph
 

ホン・ソンピル (洪 性弼)
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「ヨセフの再会」
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第三章 苦悩 第12

どれほど歩いたでしょう。伯父ラバンの家にたどり着くと私を喜んで迎えてくれました。嬉しさと同時に悔しさも込み上がってきたのか、その時は涙が止まりませんでした。私は一ヶ月間、その家に滞在しながら、伯父の仕事を手伝ってあげました。

私を哀れに思ってか、いくら親戚間であっても、ただ働きをさせることはできないとし、私に報酬を決めるように言ってくれました。丁度その時、私の頭の中には、父の言葉が浮かんできました。カナンの娘たちではなく、伯父ラバンの娘たちの中から妻を迎えるようにという言葉です。彼には当時二人の娘がいました。姉はレア、妹はラケルでありました。ああ、ラケル。彼女は本当に美しかった。パダン・アラムに到着して最初に彼女の顔を見た瞬間、私は年甲斐もなく一目惚れをしてしまいました。野原で羊を従える彼女の姿は一枚の絵のようでした。

家畜や富は、この世界のどこへ行ってもあります。しかしラケル、その美しい少女ラケルがいるのは、ここだけです。私は迷わずラケルを妻として迎えられるようにお願いしました。私が伯父の次女ラケルのために七年間仕えることを申し出ました。金銀を要求すると思っていた伯父は驚いた様子でしたが、君と私は血を分けた同じ家系なので、私の娘を他人に与えるよりも良いとして、快く承諾してくれました。

それから私は毎日が楽しみの日々でした。この歳になるまで恋心を抱いたことのない私でしたが、初めて女性を愛したのです。愛とは全く不思議です。仕事がどんなに大変で苦しくとも、こんなに喜びで胸がいっぱいになるとは。夕方に仕事を終えて疲れた体を横たえる時ですら、朝を待つことは、とても楽しくおもえました。翌朝になると、その分ラケルに近づいていくことだから、楽しくないはずがありません。

その時までも伯父ラバンは非常に良い人だとばかり思っていました。しかし、それはラバンとの悪縁の始まりであったのです。

私は一日も欠かさず一生懸命に働きました。必死に仕事をしました。伯父のためではなく、ラケルのための仕事だと思って献身的に励みました。そして約束した七年が経ち、私はラバンにラケルと結婚させてくれることを要求しました。ラバンは、もうそんなに経ったのかと言いながら、周囲の人々すべて集めて宴会を催してくれました。

実に久しぶりに味わう楽しい日でした。実家にいるときのことを思い起こせば、いつも父は長男という理由で、何かというとエサウを立てました。すべての宴、すべての行事において、その中心には、父とエサウがいました。母と私はそのそばを守りながら雑務をするのが常でした。しかし、その日の宴は、私が主人公でした。ラケルを迎える新郎ヤコブがその宴の中心にいたのです。皆が私を祝ってくれました。誰もが私と喜びを共にしてくれました。

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