第三章 苦悩 第13話
喜びとワインに酔ったからでしょうか。床に横たわると私はいつの間にか深い眠りの中へと落ちていきました。生まれて初めて女性を抱いたようでしたが、記憶もおぼろげです。それでも私は喜びに満たされました。世界で最も美しいラケルを得ることができたからです。いや、できたと思ったからです。
ところが、これは何ということでしょうか。朝起きてみると、私のそばに横たわっていたのはラケルではなく、その姉のレアだったのです。彼女は視力が弱かったので誤って自分のベッドと間違って寝ていたのかと思いました。しかし、そうではありません。伯父ラバンが私をだましてラケルの代わりにレアを隣に寝かせたのです。
ラバンは悪い人です。こんなことってあるのでしょうか。過ぎ去りし七年は誰のための歳月だったというのでしょう。今まで他の者を知恵でやっつけたことはありますが、このようにやられたのは初めてです。
私は煮えたぎる怒りを抑えられませんでした。我慢できませんでした。私は抗議しました。このように憤りを露わにしたのは生まれて初めてです。
一方、ラバンはケロッとしています。その地では姉より妹を先に嫁に出す習わしはない、だから姉のレアをまず抱かせた、というのです。だったら、それをなぜ今になって言うのでしょうか。なぜ七年前に言ってくれなかったのでしょうか。
ラバンは言葉を続けます。心配するな。ラケルもやるともりだ。しかし、一旦はレアと七日間を過ごすように。その後でラケルもやるので、また七年間、自分のために働けと言ったのです。彼は一体どういうつもりなのでしょうか。最初の七年はレアのためではありません。ラケルのための七年でした。ところが、レアも与えてラケルもあげるから、もう七年仕えろと言うのです。
みなさん、本当にとんでもない話ではありませんか。私はラケルだけを愛しています。これからラケルのために七年間仕えろと言うのなら、今まではレアのための七年間だったとでも言うのでしょうか。レアを得ようとする気は微塵もありませんでした。私は怒りをラバンにぶちまけようと思いました。あなたは嘘つきだ。ペテン師だ。私の七年を返せ。返せと言ってるんだ!
しかし、私にはできませんでした。私がラバンに食って掛かっている間、あそこの隅に座って頭を下げたまま音もなく泣いている人がいたのですが、他でもないレアでした。彼女に何の過ちがありましょうか。レアが先に私を騙そうとしたのではありません。すべてが自分の父ラバンが仕組んだものであり、レアはただそれに従っただけです。既に私と一晩を過ごしたので、私が見捨てれば彼女は行く当てもありません。
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