ヨセフの再会
The reunion of Joseph
 

ホン・ソンピル (洪 性弼)
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「ヨセフの再会」
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第三章 苦悩 第19

これを直感した私は、もうそこを離れ、我が故郷カナンに戻る時が近づいたと思い立ちました。いつまで、あのあくどいラバンの家で、惨めな思いをしなければならないのでしょうか。いざ、旅立ちの時は熟しました。ヨセフ、そしてその間に生まれた愛する娘ディナも長旅に耐えうるまで成長しました。

そのためにはまず、私はラケルとレアを説得しなければなりませんでした。

見てのとおり、私はあなたの父の下で二十年もの間、仕えて来た。ところがあなたの父親が私にしたことを考えてみなさい。あなたたちも自分たちの目で見たのだから知っているでしょう。私の取り分が増えれば、契約条件をあの手この手と変えて来たりしたのが十回にも及びます。しかし、その都度、神が私と共におられたおかげで、このようにヤコブの家は繁栄することができた。丁度、数日前、私の夢の中に神の使者が現れて曰く、ここを離れ私の生まれ故郷に戻るようにとのお告げがあったのだ。今まで私はあなたの父の下で十分過ぎるほど仕えてきた。もう私の故郷へ行こうではないか。

すると幸いにも、本当に幸いにもラケルとレアは快くついて来てくれると言ってくれました。それなら、ためらう理由がどこにあるでしょうか。私は急いで旅支度をし、さっさと子供たちと妻らをラクダに乗せ、家畜たちを引き連れて出発しました。

予想はしましたが、案の定、ラバンは私たちを追いかけてきました。私たちが旅立ってから七日が過ぎたころでした。その姿はまるで取って食おうとでもいうのかと思える勢いでした。

私には一片たりともやましいことはありません。ラバンが着くや否や、私は彼を問い詰めました。今まであなたのためにどれほど身を犠牲にして、どれほどに身を粉にして、どれほど誠心誠意をもって仕えてきたのかは、誰もが知っていることです。何よりも結果が物語っていませんか。猛獣たちによって羊やヤギが奪われようものなら、あなたは私に自腹で弁償させました。昼は暑さと、夜は寒さと戦いながらあなたのために今まで働いてきました。違いますか?

答えに窮すると彼は不意に自分の家にある偶像を盗んだと言い出しました。呆れてものも言えません。アブラハムとイサクによる契約の祝福の系図を受け継ぐこの長子ヤコブがどうしてそんな偶像なんかを、それもラバンの家で盗む理由がどこにあるでしょう。家全体を探し回ったあげく去って行ったラバンに会うことはもうないでしょう。考えただけでも、甚だうんざりするような歳月でした。

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