第三章 苦悩 第22話
彼らがその地域の住民たちに割礼のことを伝えると、さすがは族長とその父です。すべての男性が割礼を受けることにしたんですね。正直、驚きました。あるいは私たちの財産目当てだったのかも知れません。彼らと一緒に暮らすとなると、私たちと取引もすることになるでしょう、私たちに財力がなければ、彼らが喜ぶ理由もなかったはずです。子供たちが選択したのですから、老いぼれは従うまでです。今度は婚姻の手はずをどのように進めればいいかと考えながらも、心に傷を負ったディナのことを考えると胸が痛みました。
彼らが割礼を受けて三日目の日、衝撃的な知らせが入りました。シメオンとレビがシェケムの地に攻め行って、割礼の痛みが治まっていない男性、ハモルとその息子である若い族長を含むすべての住民を刺し殺し、ディナを連れて帰ったというのです。それだけでなく、イッサカル、ゼブルンまで加勢して、そこの家畜や財産を奪ったというではありませんか。
ああ、私は絶望しました。一体がなぜこんなことになってしまったのでしょうか。私はシメオンとレビを責めました。どうしてこのようなひどいことを犯したのかと厳しく問いただしました。しかし、彼らは堂々としていました。まだ殺気に満ちた目を輝かせています。自分の妹を辱めたのに、どうして黙っていれるかというのです。
ああ、私たちはもうこれ以上ここに留まっていることはできません。息子たちのしでかしたことを聞きつけて、他の民族が攻撃をしかけてくるかもしれないではありませんか。一刻も早く逃げなければ。私は直ちに父と兄がいるカナンの地ヘブロンの谷へ行こうとしました。
ところが、不幸はこれで終わらなかった。まだ終わっていなかったんです。ベツレヘムの近くを通っているとき、ラケルに陣痛が起こり始めたと思ったら、息子ベニヤミンを出産したのです。
ああ…、めでたい?はい…めでたいことです、ですがラケルは、ベニヤミンを出産すると、ベニヤミンを出産すると、なんと死んでしまったんです。ああ、ラケル、ラケル、愛するラケル…。私は、あなたにして上げたいものが、まだたくさんあったのに、君を得るために七年を働き、一緒になってからまだ十四年しか経っていないのに、こんな風に別れるなんて。こんなにあっけなく…。こんなに…。ああ、ラケル…、ああ…、ラケル…、ラケル…。
- 両手で顔を覆い、声を上げて泣く。
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