ヨセフの再会
The reunion of Joseph
 

ホン・ソンピル (洪 性弼)
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「ヨセフの再会」
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第五章 追及 第2

あなたは、国の至る場所に倉庫を建て、あふれる穀物を蓄えさせました。一部の家臣たちは、このときを利用して兵力を増やし、軍事力を高めようと主張しました。それまで一貫してあなたを支持してきた陛下でさえも、この時だけは、心を揺り動かされたような気がします。それもそのはずでしょう。陛下の野望はあまりにも偉大です。その野望は、この全ての国をご自分のものにされたとしても満たされることはないに違いありません。そんな陛下は当然強い軍事力を望まれました。このように富が溢れて家畜が溢れ、そして穀物が溢れる今こそ軍事力増強のための絶好の機会だと思ったことでしょう。しかし、あなたの方針は変わりませんでしました。躊躇われる陛下の前に立ったあなたは断言いたしました。

「今、軍事力を育てれば、今後、必ず迫ってくる飢饉が近づいた時、兵力を維持するために、より多くの食料が消費される。来たるべき飢饉は、エジプトだけではなく、この世界全体を覆うものであり、その時に備えて食料を保存しておけば弓矢一つ使わず、馬一頭使わずとも、天下を手中に収めることができる。」

陛下と言えども揺るぎのないあなたに対して反対することはできなかったようですね。陛下は以後ツァフェナテ・パネアハに背く者は極刑に処するとの勅令を出され、誰であれもあなたの政策に反対できないようにされました。

私はどれほど誇らしかったか、私がツァフェナテ・パネアハの妻という事実がどのよう誇らしかったか知れません。しかし、一方では、不安な気持ちに駆られました。それは他でもない、エジプトの家来たちの嫉妬心をよく知っていたからです。祭司であるの父ボディベラも常にその点を心配していました。

いくら陛下が勅令を出されたとしても、彼らの謀略は鎮まりませんでした。彼らは待っていたのです。大豊作が終わるのを待っていました。そして、あなたが予測した七年が過ぎても飢饉に見舞われない場合、彼らはあなたを陛下に告発するつもりでした。エジプトの復興を妨げる偽預言者と糾弾し、権力の座から引きずりおろうと企んでいたのです。

私は自分の立場があまりにも悲しゅうございました。。豊作の期間中、エジプトでは、黄金があふれ、民たちは銀を粗末に扱うほどでした。道に落ちているお金も拾いません。私は、エジプトの民の一人として、この驚くべき豊作が永遠に続いてほしいと願いました。しかし、一方で、私は飢饉を待たなければなりませんでした。飢饉が来なければ、あなたが窮地に追い込まれます。いいえ。あなただけではない。権力に目がくらんだ彼らはあなたを引きずり下ろすだけでは事足りず、陛下さえも危機に陥れるかもしれません。ああ、なんと恐ろしいこと、考えただけでも胸が張り裂けるようです。

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