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第五章 追及 第12話
あなたは慈悲に沈黙しました。私は覚えています。多くの人々があなたのもとに来ては食料を求めるときのあなたの目を覚えています。お金が尽きたと言えば、家畜を渡せと言い、家畜も尽きたと言えば、土地を渡せと言いました。彼らは今、土地を失って奴隷になったも同然です。一つ伺います。これもまた、あなたの神がさせたことでしたか。彼らの土地を没収して小作農に転落させて、高い税金を課すようにあなたの神が命じたのですか。あなたは優しい人です。苦難を知っている人です。しかし、あなたこそ利己的な人間です。あなたのためになる人には慈悲と恵みを施すことを惜しまず、そうでない人に対しては、あまりにも無慈悲な方です。あなたに土地を売りに来た人が他の民であれば、そうすることもできましょう。しかし、彼らはエジプトの民です。自由人だった人々です。あなたは彼らの土地を没収して陛下の所有としてしまいました。あなたには陛下の笑いだけ見え、彼らの涙は眼中にもありません。あなたは貧しい人々に対する慈悲に沈黙しました。
そして、あなたは今、許しに対して沈黙しています。他でもない兄たちの許しについて沈黙しています。そうさせているのがベニヤミンです。あなたのベニヤミンに対する思いです。冷静になって考えてみてください。ベニヤミンはあなた兄たちの死を望んでいるのでしょうか？同じラケルお母様の子であるあなたの手が血で染まることを喜ぶでしょうか？そんなに彼らを殺したいのであれば、いいでしょう。そうしてください。誰があなたを咎めることができましょうか。誰があなたを再び牢に入れることができましょうか。この国の民の半分を虐殺したとしても陛下はお責めにならないでしょう。ましてや、外国人の数人を殺すくらいで、いくら広いエジプトといえども、あなたを非難する者などおりません。私に申し付けて下さい。どの剣をお持ちしましょうか。陛下から賜った宝剣をお使いになりますか。それとも、自分の土地を奪い奴隷にしてしまった小作農たちが使う鎌を持ってこさせましょうか。
閣下。お願いです。この通りでございます。中途半端の愛でも満足しましょう。いや、残りの半分の愛までも奪っていって結構です。どうか、その憎しみを抑えて下さい。どうか、その憎しみの炎を消し去って下さい。
怒らずに聞いてください。私の目には、あなた自身が燃え盛る炎によってますます黒く焦げていく、あなた自身がますます細くなっていく蝋燭(ろうそく)の芯のように見えてならないのです。
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