練習問題『 就職氷河期 』

【問題】次の文章を読んで、後の問いに答えよ。

　コンビニや(a)イ酒屋に置いてある無料の求人情報誌は、どのページも「スタッフ」大募集だ。出前といわずにデリバリースタッフ、(b)ケイ備はセキュリティースタッフで、窓ふきはウインドークリーンスタッフと呼ぶ。
　若ければ、お金はなくても可能性がある。それぞれの夢へと時給千円からの出発だ。でも、不安定な「スタッフ」ばかりを転々とするとなれば話は違う。短期のアルバイトで(1)食いつなぐフリーターは、ワーキングプア（働く貧困層）の象徴となった。
　「はたらけど　はたらけど猶（なお）わが生活（くらし）楽にならざり　ぢつと手を見る」。石川啄木がそう詠んだのは明治43年（1910年）夏、24歳だった。前年、東京朝日新聞の校正係に正規採用されており、生活苦は浪費が一因といわれる。
　「個人的な事情はあったにせよ、時代や社会の貧しさを詠み込んだからこそあれほどの［ Ａ ］を呼んだ。いま、この歌が盛んに引用されるのは(2)時代が悲しくつらいからでしょう」。ニートなどの社会病(c)リに詳しく、啄木研究者でもある明治大学教授、池田功さんの解説だ。
　短歌の腕を見込まれた啄木は、ほどなく朝日歌(d)ダンの選者に登用され、この作品を含む最初の歌集『［ Ｂ ］』が出版される。ただ、(3)彼の人生の残り時間はあと1年だった。
　日本の労働者の3割はパートやアルバイト、派遣などの非正社員だ。就職氷河期に定職を逃した25〜34歳のフリーターは約100万人いる。国会での格差論議を大急ぎで具体策につなげたい。青壮年が、じっと求人誌を見ながら老いていく国が「美しい」はずもない。

『朝日新聞』2007年2月26日付　天声人語より

【問１】下線部(a)「イ酒屋」と同じ漢字を含むものはどれですか。
　1．平イな表現に改める。
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　2．注意深く包イする。
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　3．イ留守をつかう。
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　4．不正行イが明るみに出る。
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【問２】下線部(b)「ケイ備」と同じ漢字を含むものはどれですか。
　1．ケイ帯電話を利用する。
　　（　　　　　）
　2．波浪ケイ報が発令される。
　　（　　　　　）
　3．重いケイ罰を科す。
　　（　　　　　）
　4．保険のケイ約をする。
　　（　　　　　）

【問３】下線部(c)「社会病リ」と同じ漢字を含むものはどれですか。
　1．辞表を受リする。
　　（　　　　　）
　2．支リ滅裂な文章。
　　（　　　　　）
　3．リ歴書を送付する。
　　（　　　　　）
　4．思い出が脳リをかすめる。
　　（　　　　　）

【問４】下線部(d)「歌ダン」と同じ漢字を含むものはどれですか。
　1．不正を糾ダンする。
　　（　　　　　）
　2．工事におけるダン合が発覚する。
　　（　　　　　）
　3．花ダンに種をまく。
　　（　　　　　）
　4．金の算ダンがつく。
　　（　　　　　）

【問５】下線部(1)「食いつなぐ」の意味として最も適当なものはどれですか。
　1．どうにか生計を立てる。
　2．ぜいたくな暮らしをする。
　3．いろいろな経験を重ねる。
　4．のんびりと生活する。

【問６】空欄［　Ａ　］に入る語として最も適当なものはどれですか。
　1．疑問
　2．反問
　3．共感
　4．反感

【問７】下線部(2)「時代」の説明として適当でないものはどれですか。
　1．定職に就けない青壮年が多数存在する時代
　2．定職を転々とする人々が増えている時代
　3．非正社員が全労働者の3割を占める時代
　4．格差是正のための有効策が求められる時代

【問８】空欄［　Ｂ　］に入る作品名として最も適当なものはどれですか。
　1．思ひ出
　2．一握（いちあく）の砂
　3．みだれ髪
　4．赤光（しゃっこう）

【問９】下線部(3)「彼の人生の残り時間」が意味するものとして最も適当なものはどれですか。
　1．退社するまでの時間
　2．結婚するまでの時間
　3．入院するまでの時間
　4．死亡するまでの時間

【問10】本文の内容に合うものはどれですか。
　1．パートやアルバイト、派遣などの非正社員を正社員に登用してこそ、「美しい」国といえるのではないか。
　2．石川啄木は、個人的事情による自らの生活苦を、すべて社会のせいであると責任転嫁した。
　3．人材を求める職場は多いが、暮らしが楽ではない青壮年が多いというのが、日本の現状である。
　4．求人情報誌を見る限り、就職難は解消されているとみられ、日本の将来は明るいといえる。